本棚 : 「セカンドハンドの時代」(「赤い国」を生きた人びと)スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 著 ★★★★★ 岩波書店
投稿者: hangontan 投稿日時: 2023-3-8 9:50:07 (52 ヒット)

1991年ソビエト崩壊によってロシアはどうなったのか、人々はどんな生き方をしてきたのか、周辺の国々はどうなったのか、それを知る手掛かりが本書にはある。ゴルバチョフのぺロストロイカ以降、知っていそうで知らなかったロシアの実態が、インタビューを受けた様々な国々、人種、職業、階層の人々の生の声によって語られる。

だが、なんかあまりピンとこない、というか信じられない。本当にこれが今のロシアなのか、近代民主主義国家の姿を呈しているが、実態はそれとはかなり隔たりあるようだ、ロシアに民主主義は育たないのか、それとも似合わないのか。

本書はロシアのクリミア侵攻(2014年)前年に出版されているが、本書から読み解く限り、それは必然であったようにさえ思えてくる。ソビエト解体から20年間、人々が当初思い描いた幸せは万民に降ってはこなかったし、西洋とは等しくならなかった。そこに登場したのがプーチン、そして、ウクライナへの攻撃。ロシアはいったいどこに向かおうとしているのか、人々の思いはこれからどう変化していくのか、興味は尽きない。

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