本棚 : 「世界を揺るがした10日間」ジョン・リード著 ★★★★ 光文社
投稿者: hangontan 投稿日時: 2023-5-15 17:08:51 (50 ヒット)

先に読んだソビエト崩壊の日々を綴った「レーニンの墓 帝国最期の日々」もそうだったが、本書もロシア革命を目の当たりにしたジャーナリストによって書かれている。

本書を手に取るまでのロシア革命の印象は、ツアーリの退位と民衆による社会主義国家の成立、と思っていた。だが、事態はそんな単純なものではなかったようだ。明治維新も決して楽に成し遂げられたものではなかったが、ロシア革命も一筋縄ではいかず、様々な組織(ソヴィエト)、委員会、軍隊での意見の対立や武力行使の結果、最終的にレーニンが率いるボリシェビキに収斂されていったようだ。著者は自らそれらの集会や闘争現場に居合わせて、その一部始終を見ることに(体験する)ことになり、それを臨場感あふれた筆致で克明に描いている。あまりにも多く登場する組織に、最初はついていけないが、また完全に理解するにはこの本一冊では無理、大筋だけを追っていても、ロシア革命のダイナミズムは十分伝わってくる。

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