本棚 : 「センテニアル」
投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-11 6:31:02 (554 ヒット)

ジェームズ・ミッチナー 著 上・中・下 ★★★★★ 河出書房新書

アメリカは西部開拓時代の物語。非常に長い、だが、一箇所も興味の薄れるところがない作品だ。スケールは大きく、地球の始まりから地殻変動、気候の変化、恐竜の話、馬の祖先の物語、などを交え次第に本作品の舞台、コロラドに焦点が絞られてくる。良書というにはピッタリの本であろう。
この本を初めて読んだのは20年以上前のこと。当時この本から受けたものは、コロラドへの憧れとそこで暮らしてみたいという、なにかしら西部開拓史の時代の人々が抱いた希望と似通ってた部分があったと思う。今読み直してみて気づいたのは、アメリカ人のというものに対する大局的な見方。イギリス、ドイツ、フランス、メキシコ、日本人がインディアンの住むこの地に入って来た。裸一貫で入ってきて、そこに暮らし、すべてのことは自分の責任においてやらなければならない。鉄砲を持ち馬に乗るようになったら、なにが起ころうと、そいつはそいつで解決しなければならない。野垂れ死にしようが、酒場で撃たれようが、それはそいつのことなのだ。飛行機で1時間も上空を飛んでもそこが一個人の所有になる牧場なんて、信じられないし想像もつかない。そこで飼われている牛もしかり、いったい何万頭の牛がいるのか、数えられるのか。小さな島国で単一民族からなる日本とはバックボーンが違いすぎる。昨今のBSE問題で日本はアメリカとさんざんもめているが、そういうふうに我々と違った背景を持つのだから仕方の無いことなのかなぁ、とも思わさせてくれた本書だった。

印刷用ページ このニュースを友達に送る