本棚 : 「暗号解読」
投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-11 6:31:42 (340 ヒット)

サイモン・シン 著 ★★★★★ 新潮社

これは面白い、快適だ。世界的ベストセラーとは後で知ったが、それも頷ける。
暗号といえば、第二次大戦中にドイツ、日本の暗号が傍受、解読されていて、Uボートの撃沈、ミッドウェーでの負け戦から連合国側勝利への足がかりとなった、ことぐらいしか頭にない。本書では古代ギリシャの時代から暗号が使われており、歴史上数々の場面において重要な役割を担ってきたことを伝えている。初期の頃、暗号はもっぱら文学的素養のある者が解読作業にあたっていた。しかし、だんだん複雑になってきて、コンピューターの出現、発達に伴い、数学者、物理学者、量子学者の出番が必然となってきた。昨今、代表的なネットツールのセキュリティ上の脆弱性が問題となっているが、これも暗号問題と微妙な係わりがある。アメリカは高度な暗号技術の輸出を国家安全対策の点から規制しており、それはより安全な暗号技術を輸出するネットツールに組み込めないことを意味する。
暗号の初歩から最新技術まで、わかりやくす解説してある。終盤では量子学から最先端の暗号技術について書いてあるのだが、これもこの手の分野には全くの素人にも分かったような気にさせる文章で書かれている。暗号の世界をあっという間に読み解いていく快感。実に楽しい。

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