本棚 : 「蔵」
投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-11 6:39:43 (411 ヒット)

宮尾登美子 著 ★★★ 中公文庫

新潟は亀田町の五千坪を持つ大地主が始めた酒蔵が舞台。ここでも逆境にもめげずけなげに懸命に生きる女性が登場し、宮尾節が光る。人物や四季の移ろい、家族の生きざまが日常の生活からそのまま切り取られて本の中に生きている。方言の違和感が少し残った。富山と新潟とではそんなに違いはないとの思い込みがそうさせたのかもしれない。普通の文体であっても十分にいけるのにと思うのだが、作者にはそれなりのこだわりがあるのだろう。毎日新聞に掲載され爆発的な反響があったという本書も他の例にもれず読み伝えたい作品の一つだ。

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