本棚 : 「妖星伝 全7巻」
投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-12 6:11:23 (437 ヒット)

半村良 著 ★★★ 講談社

とても、とても長いお話し。
初めて呼んだのが約30年前と記憶する。当時はいくらか話題に載っていたのだろうか、定かでないが、自分はわくわくして読み始めた。単行本が先に出て、それから文庫本が出るという世の常にならって、この本も文庫版が出るのを待って買い求めた。しかも、第1巻から6巻まで同時に出るというわけではなく、一年か半年後に次巻が出される、という具合。その間、いつ本屋さんに並ぶのか、気をやきもきさせて待っていた。そんなものだから、数年かかって6巻目を読み終えたとき、やっと終わったのか、という思いであった。だが、その後完結編が出されたらしい、と知った。しかし、いつの間にかそれは記憶の底に仕舞われてしまっていた。なぜなのかというきっかけはないのだが、そういえば、『妖星伝』があったなと、ふと思い出し、改めて最初から読み返し、今回は3ヶ月近くかかって読了した。

昔読んだように、最初からおもしろい。ところが、話が進むにつれ、SF的要素が薄くなってきて、なにやら禅問答っぽい部分が多くなってくる。期待した最終巻に至っては禅問答そのもの。ある意味、最近人間の死とはなんぞやと考えることが多くなってきた小生にとって、また、よき参考書となった。今これを読んだことは何かの導きかもしれない。しかし、第1巻を読んだときの強いインパクトから、これはどうなるのかと、エンターテイメント性への期待感を膨らませていただけに、少しずれていったのは、やっぱりがっかり。

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