本棚 : 「ウォッチメーカー」
投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-12 6:13:30 (381 ヒット)

ジェフリー・ディーヴァー 著 ★★★ 文藝春秋

星二つにしようか五つにしようか迷ったが、間をとって、やっぱり三つ。
今回もいきなり連続殺人事件に駆り出されるリンカーンとアメリア。さて、どんな殺人鬼が待っているのか興味津々。『魔術師』で、推理小説の「誤導」とその「メソッド」を学習させられた今となっては、なんでも疑り深くなる。それでも、やっぱり騙されてしまう。伏線に次ぐ伏線が終盤には全てジグソーパズルのようにピッタシと埋まってしまう。その「伏線=誤導」自体にも起承転結があり、すべての伏線が縄の如く絡みあって、物語自体の起承転結を構成している。推理小説かくありきという見本中の見本。だが、星五つに出来なかったのは、「誤導」があまりにもすっきりとうまくはまってしまい、度重なるどんでん返しにややしつこさを感じざるを得なかったからだ。一つ一つは大きな波であるのには違いなく、それ自体秀逸なのだが、もっと大きな超がつく大波が一つ全体を覆って、深い余韻にひたれたら、なおよかっただろう。

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