徒然書き : ホタルイカの食べ方
投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-23 18:10:06 (484 ヒット)



手っ取り早いのはゆでて食べるやり方。酢味噌やからしなどと和えて食べるのもあるが、ゆでたてだと何もつけずにそのまま食べるのが一番。プリプリとした食感と噛んだ直後に口の中に広がるイカの内臓の風味がたまらない。しかし、こんなにいっぱいゆでても食べきれない。刺身にするのも一案だが、ちと手間がかかる。そこで煮干にすることにした。幼い頃浜に住んでいたときの思い出がフラッシュバックする。

4月になると海岸に寄ってくるホタルイカを採りに、夜海岸に出かけた。はて、何時ごろにやってくるかわからない。この時期の夜風はまだ肌寒く、私達はよく浜で焚き火をしながらそのときを待った。パチパチと漆黒の空に火の粉があがる。暗がりの中、突堤の上や海岸線をホタルイカを待つ人たちが行き来する。ざわざわと交わす会話があちこちから聞こえる。なかなか現れない主人公に業を煮やし帰っていく人もいる。真っ黒な海に網を入れ、ザザーッとすくうと、キラキラとビーズ玉を掃いたようになる。夜光虫の光はぱっと輝き、さっと消えていく。誰かがホタルイカを見つけると、あたりは急に活気づく。懐中電灯があちこちで灯され、我先にと網を差し出す。ユラユラと揺れるように泳いでいるそれは、あっけないほど簡単にタモですくえる。バケツ一杯の大漁のときもあれば、10匹ぐらいしかとれないときもある。子供のことだから、あまり夜遅くまでねばっているわけにもいかず、早々に引き上げた後に、ドドッと押し寄せたこともあった。中学に入って引越しをしてから、家が海からやや遠のいた。波の音も聞こえず、潮風もにおって来なくなった。台風のときの大しけのときなどは、家まで波しぶきが飛んできたのに。それがなくなってから、ホタルイカとりにもイカなくなってしまった。

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