本棚 : ハイペリオン
投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-25 6:08:31 (391 ヒット)

ダン・シモンズ 著 ★★★ 早川書房

SF度たっぷりの長編。ネットでの書評は大きく分かれるが、おおむね好評。SF小説特有の専門用語が飛び交う。作者オリジナルの造語をどう邦訳するのか、その辺も見ものである。邦訳者も苦心したのではないだろうか。本書の内容もさることながら、その邦訳者の酒井氏のあとがきも秀でている。最近の小説手法についてこうコメントしている。「アメリカ大衆小説全般の巨大化傾向と、それにともなう造りの変化」「重厚長大なプラットフォームが標準として確立してしまった」その結果「人物や背景の細かい描写、複数プロットの同時進行などに移り変わってきた」「アメリカベストセラー型多人数同時進行」ふむふむと納得。小説どころか「24」や「ロスト」「ヒーローズ」などの人気テレビドラマもこの手法で描かれている。話があっちに飛んだりこっちに飛んだりとするため、読むほうは読む力が試されるし、見る方も話の展開について行けなかったりもする。より複雑化したエンターテイメントの膨大な情報量に人間の脳はよくついていくものだと思う。

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