本棚 : 塩狩峠
投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-8-15 5:55:28 (483 ヒット)

三浦綾子 著 ★★★ 新潮社

お盆に帰省した息子に何か面白い本はないかと尋ねたところ、出してきてくれたのがこの『塩狩峠』。なるほど、高校生向けの推薦図書だけあってなかなかよい作品だった。
主人公の少年期から大人まで、その時々の心情がうまく描かれている。明治時代の話なのだが、自分の頃と照らし合わせてみても、人間の本質的な気持ちというのは不変なのだなと思わせてくれた。また少年期から青年期にかけては、息子とダブらせて読んでいる。彼もまた同じ悩みや思いを抱きながら成長してきたのだな。胸が熱くなる場面では息子も小生と同じ思いで読んだに違いない。主人公の生きざまは何かしら今の息子の糧となっているのだろう。小生、『塩狩峠』、息子と、本を頂点とした三角関係のようなものを感じ、息子から手渡された本書によって、息子との絆というものを今初めて認識したような気がする。
最後に、新約聖書から引用された巻頭の一文を記しておこう。

一粒の麦、
地に落ちて死なずば、
唯ひとつにて在らん、
もし死なば、
多くの実を結ぶべし

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