本棚 : 「魔女の刻」 全4巻  アン・ライス 著 ★★★★★ 徳間文庫
投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-9-9 8:31:21 (694 ヒット)

原題は−The Witchng Hour−魔女の刻(とき)と呼ぶのだが、個人的には魔女の刻(こく)と題した方がよかったのにと思っている。
1990年にアメリカで出版されるや、たちまち絶大な人気を得、大ベストセラーとなった。その後直ちに邦訳、文庫版として日本で出版された。この本にたどり着いたのは同じ著者による「夜明けのバンパイア」から。「夜明けのバンパイア」でいっぺんにアン・ライスに魅せられ、バンパイアクロニクルにはまっていった。それだけに、この「魔女の刻」への期待は大きかった。本屋さんに並ぶとすぐに買い求め、むしゃぶりついた。そして、いつかまた読む機会があるだろうと本棚に積んでおいた、その再読である。

現代版魔女の話。「夜明けのバンパイア」は現代版バンパイアクロニクル、続編に続編を重ね長大な物語となってしまった。本書もシリーズ全部合わせるとかなり長い物語となる。長い話にも関わらず論理的破綻もない。17世紀から現代に至るまで続いているメイフェア家の魔女の系譜が圧巻で、まるでそれが史実のようであるかのように感じられる。加えて官能小説もびっくりの描写と先行きがわからない謎解きの妙が現代の魔女の物語をうまく演出している。また舞台となっているニューオリンズの植生、気候などもふんだんに取り入れられ、そこにいったことがないのに、そこを見ているかのようにまたその舞台に立っているかのような臨場感が味わえる。アン・ライスの真骨頂はこの臨場感にあると思う。冒頭からいきなり入りこみ、そのテンションが下がらぬまま最後まで一気読み。これぞエンターテイメントの極みだ。

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