本棚 : 「ペリカン文書」 ジョン・グリシャム 著 ★★★★★ 新潮社
投稿者: hangontan 投稿日時: 2011-10-2 18:16:00 (359 ヒット)

ネット上で、とかく前作「法律事務所」と比べられるこの作品。「法律事務所」は圧倒的な支持を受けているが、この作品は今一評価が高くない。自分的にはこちらの方が面白いと思うのだが・・・。

冒頭二人の最高裁判事が殺されることから話は始まる。誰がどんな目的でやったのか、憶測が飛び交う中で出てきたのが「ペリカン文書」。ロー・スクールの学生、ダービー・ショウが図書館にこもって、数日間で書き上げたとりとめもないレポート。ルイジアナ州の石油権益騒動とその裁判から推察された一つの仮定。これが物語の要で、大統領の立場を揺るがしかねない内容を含んでいた。

前作同様、主人公のスリルある逃走劇が見もの。すこぶるつきの美人が出てくるのも前作同様。逃走先にカリブの島々が連想されるのもまた同じ。だが、法曹界、大統領、FBI、ワシントン・ポストの記者を巻き込んでのストーリー展開とスケール感はこちらのほうが勝っているように思える。なにより、事件の鍵となる「ペリカン文書」の設定に賞賛を贈りたい。

印刷用ページ このニュースを友達に送る