本棚 : 「MIST」 池井戸潤 著 ★★★ 双葉社
投稿者: hangontan 投稿日時: 2011-10-6 8:47:43 (350 ヒット)

標高500メートルにあるのどかな山村が舞台。

出だしは町の駐在所に着任した若いおまわりさんと女性教師の描写から。なにやら青春物語の予感が。だが、しかし、そこに描かれたものは、予想だにしなかった連続殺人。あれよ、あれよと殺人事件が起こってしまう。経営に行き詰まった老舗旅館や町の名士が経営する文房具店の裏事情が語られていく。銀行が絡んだ企業小説風の筋立てと、ダーティーな連続殺人をうまく融合させている。そして、最後は振り出しに戻り、嵐が去ったあとののどかな山の村。さわやかな余韻が残る。

作者には真に暗くておぞましい切り裂きジャックは描けない。基本性善説なのだろう。

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