本棚 : 「奪還」 麻生幾 著 ★★★ 講談社
投稿者: hangontan 投稿日時: 2012-5-24 21:35:48 (296 ヒット)

フィリピンで活動中の「国境なき医師団」の日本人女医が何者にか拉致され、行方がわからなくなった。その捜索依頼を受けたのが、元自衛官で特殊部隊隊員だった河合。河合はかつて、通常の交戦に加え、海上、海中からの任務に秀でた精鋭部隊を率いていた。

事件の影にちらつくフィリピンマフィアのドンを追っていくうちに、舞台は与那国島へ移り、急展開を迎える。そこで河合のかつての仲間たち“バッドボーイズ”が再び徴集される。

国のため、また自分の信ずる者のため、任務のためには生死をいとわない男たちの物語。反面、国家のためと言いながら、秘密裏に悪と手を組むことを排除せず、旗色が悪くなると、自らの手を汚すことなく任務の名において事態を収拾させ、それに関わるものを闇に葬り去ろうとする組織があり、者がいる。

先に読んだ「外事警察」は捜査しているものがまた誰かに監視され、事件の裏に隠された真相にまた裏がある、という構図が幾重にも仕組まれていて、やや懲りすぎたきらいがあった。しかし、本作品では、物語をより単純にして、「外事警察」よりは気楽に読める内容となっている。

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