本棚 : 「数学的にありえない 上・下」 アダム・ファウアー 著 ★★★ 文芸春秋
投稿者: hangontan 投稿日時: 2012-9-30 16:16:33 (311 ヒット)

もしかして、これは「LOST」みたいな物語なのだろうか。読んでいるうちにそんな思いが頭をよぎる。

テレビのコロンビア白熱教室でシーナ・アイエンガー教授は「選択することが困難を切り開く力になり得る。選択こそ人生を切り開く鍵である」と説いていた。

その選択の根拠は何か?私たちは朝起きてから、夜床に着くまで様々な選択と決断をそれと意識せずに下している。しかし、特定の場合、特に困難な場面に遭遇したとき、明らかにこれから進むべき道の選択を迫られ、それを意識する。

ここに出てくる主人公はその選択のよりどころを確立論と統計学に求める。あーなって、こーなって、そうすると次に起こりうる選択枝は、そしてその確率は・・・。しかし、自分自身で決めていたはずの行動が、集合的無意識に左右されていたとしたら。

サイコロの目の出方や、ポーカーゲームなどを確立論でやさしくひも解いたりして、数学や物理に興味のある高校生にはお勧めの本かもしれない。

それと。巻末の「謝辞」が作者の人柄を伝えているようで好印象を抱いた。

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