本棚 : 「無罪」 スコット・トゥロー著 ★★★ 文藝春秋
投稿者: hangontan 投稿日時: 2012-10-24 17:57:36 (310 ヒット)

変死した妻の遺体発見から通報まで空白の一日。その間に何があったのか。
そして被告として裁かれるのは、夫のラスティ・サビッチ。上訴裁判所首席判事、州最高裁判所判事候補だ。20年前「推定無罪」で裁かれてから、再びサビッチが被告として法廷に立つ。

今や60歳になったサビッチは性懲りもなく前回同様不倫を犯してしまう。しかも、今回の相手は20歳以上も若いすこぶるつきの才女。いつもながら中高年にとってはうらやましい役柄。その不倫が今回の事件と関係があるのかないのか、サビッチはそのために妻を殺したのだろうか。それとも誰か他に犯人がいるのか、あるいは自殺なのか。

「推定無罪」ではサビッチが無罪と判決が下されたものの、本当に彼はやっていないのだろうか、自分的にはそんな疑惑がぬぐい切れない。そんな中で出された今回の作品。サビッチはどうなるのだろうか、逃げ切れるのだろうか。そんな思いで読み進む。

「推定無罪」を読んでいなくても楽しめるとは思うが、サビッチや他の役者の人物像が頭の中にある程度出来ていた方が、よりおもしろく読めると思う。法廷場面の描写は臨場感があて、さすがという感じ。不倫相手との情交場面もなかなか読ませてくれている。

「推定無罪」と重ねて読んでしまうところが、面白みを倍増させる、とともに、“二番煎じ”という感も同時に沸いてきて、なんとも不思議な作品となった。

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