本棚 : 「楊家将」上・下 北方謙三 著 ★★★★★ PHP研究所
投稿者: hangontan 投稿日時: 2013-7-20 7:55:58 (418 ヒット)

今年になって、北方謙三の『大水滸伝』を読みはじめ、「水滸伝」全19巻、「楊令伝」全15巻、そして「岳飛伝」ときて、これは第5巻目が出たばかり、そこで追いついた。「岳飛伝」が何巻まで続くのかわからないが、一旦『大水滸伝』はおあずけ。

本作品は『大水滸伝』の出発点ともいえる物語。「水滸伝」以前の遼と宋との戦が描かれている。『大水滸伝』は基本的には英傑の活躍物語だが、国の在り方にまで話を広げ、それがある意味壮大なスケールの基盤ともなっている。しかし、その一方で、どこに話の落としどころを見出すのかという、やや冗長的な物語となっているのも否めない。

その点、本作品は話が単純。英傑の生き様と戦闘場面が主題となっている。宋の武門としての「楊家」の武勇伝、対する遼の名勝耶律休哥との宿命的な戦いは読みごたえ十分。「水滸伝」で華々しく散っていった楊志の原点がそこに描かれていた。なるほどそういうことだったのか、と思わせる場面がちりばめられている。皆は「楊家将」と「水滸伝」、どっちを先に読むかは分からないが、自分のように先に「水滸伝」を読んだものにとっても興味深々の物語だった。
圧巻は壮絶な楊業の最期。くやしさ、やるせなさ、無念さで胸いっぱいになった。

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