著者十一作目。十年で十一作だから遅筆の方だろう。この作品も存在感が薄い。一気読みできるのだが、二、三日して思い返してみても、何も覚えていない。中村文則の作品はどうも当たり外れがあるようだ。五作目にして芥川賞をとったのは、やや早すぎたのではなかろうか、そう思われてしかたがない。