本棚 : 「銃」中村文則 著 ★★★ 新潮社
投稿者: hangontan 投稿日時: 2013-8-17 5:00:06 (389 ヒット)

中村文則デビュー作。
自分が読んだ中では6作目、これが一番おもしろかった。デビュー作にして注目されたのもうなずける。著者得意の心理描写が秀逸。ある日、ひょんなことから銃を持つことになった青年の心の動きが実にうまく描かれている。心理面だけでなく、一つ一つの事象の描写もうまく、臨場感のある作品となっている。その後の著者のテーマの一つとなってくる「悪意」の片鱗も見うけられるが、それが主題となっているわけではない。初めて彼が世に出てきたときに、次の作品を期待したのは当然のことであったであろう。

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