本棚 : 「放蕩記」村山由佳 著 ★★★ 集英社
投稿者: hangontan 投稿日時: 2013-9-14 4:43:23 (486 ヒット)

題名から「花酔い」「アダルト・デュケーション」「ダブル・ファンタジー」のような性愛描写濃厚な作品を想像したが、そうではなかった。それはそうであろう、本作品のオリジナルは数社の地方新聞で配信掲載されたものだった。まともにあれほどの濡れ場を朝刊紙に載せるのはさすがに難があろう。そこをあえてやってもらいたかった、という思いもあるのだが。
なんとなく作者の自伝的小説に思えなくもない。しかし、「放蕩記」というにはそれほど波乱万丈なストーリーというわけでもない。作家である主人公とその母との絆を描いた物語。いつのころからか母に対する違和感というか、反骨を覚え始めてきた主人公。主人公の想いを綴っているが、母と主人公の両方の視点から見られるようにも書かれている。が大人になって初めてわかる母の愛。新聞の読者には大方満足のいく出来具合であろう。

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