山旅 : 早月小屋・初夏 2014/6/9
投稿者: hangontan 投稿日時: 2014-6-10 18:24:48 (502 ヒット)

初夏といってもまだ小屋付近はたっぷりと雪が残る。そんな小屋まで歩いてきた。

6月に入ってから早々と梅雨入りして、文字通りのうっとうしさというか、晴れ間が出れば暑いし、木陰に入ればまだ涼風が心地よいし、平地では雨が降るようで降らなかったり、かと思うと山だけは厚い雲に覆われていて夕立があったり、じとじとと雨が続くような典型的な梅雨とはちょっと違った今年の梅雨。

そんなふうだから、今日の天気も当てにはならない。午前中が勝負とみて出かけることにした。

起きてから、FBのチェックをして、庭の鉢の水やりをたっぷり30分。おにぎりを作って家を出たのが5時半。馬場島に着いてから持ち物検査、なにしろ最近の忘れ物はひどい。ストックよし、ピッケルよし、アイゼンよし、おにぎりよし、水よし、非常食よし、カッパよし、ピンチ袋よし。今日は完璧だ。

出がけにクズバへ行くという二人組と声を交わして、早月尾根に向かった。
さすがにこの時期になると、春を彩るカタクリ、サンカヨウの季節も終わり、それらは緑一色の周囲の草花と完全に同化している。なんら新鮮に目に映るものもなく、ひたすら足を運び続ける。雲の切れ間から見える周囲の山々の雪もほとんど消え、残るは谷筋の雪渓のみ。緑なす山々に白い筋となって張り付いている残雪は夏の訪れを感じさせる。

あっというまに1200を過ぎ、1400、1600まで。体調は悪くはないようだ。ここで一本とって、再びゆっくりと歩きだす。夏道は整備されていて歩きやすい。いったいどこから雪が出てくるのかなと訝しげに思っていたら、1900を過ぎると急に雪の斜面が現れた。迷わずアイゼン、ピッケルを出して、その残雪を拾って登る。雪はまだ堅雪とはなっていないが、アイゼンの方がつぼ足よりは歩きやすい。

見上げると早月小屋手前のピークがガスで見え隠れする。天気が持つかどうか。雪原の両側にダケカンバの色鮮やかな芽吹きが目に入って来る。青空ならもっときれいに映えるのにと思いながらもカメラを向ける。曇り空のもと、眺めもよくなく、のっぺりとして単調な色合いの残雪歩きにあって、その芽吹は一服の清涼剤のように心にしみいってくる。

小屋に着くころには少し明るくなってきたが、2400から先ははやり雲に覆われている。今回も剱は見送り。早々と下山にかかる。ガスっていれば1900までの雪の斜面も迷いやすい。なんとか視界が効いてよかった。1900の夏道に出て一安心。アイゼンとピッケルを仕舞って、ダブルストックに切り替える。

登山道には砂の流れ止めにと板を設置してあるところがかなりある。そこを跨いだつもりだったのだが、その板の縁に爪先を引っ掛けてしまい、前のめりに勢いよく地面に突っぷした。咄嗟に両手を突いて顔面直撃は避けられた。手のひらを突いたところが石の上だったのでよかった。が、そこに登山道修繕用の針金や木の突起などがあったら、大変なことになっていたかもしれない。ストックを突いていてもこの有様、最近山に来るたびにすっ転んでいるような気がする。今回のように、足を上げたつもりが上がってなかったり、濡れた岩で滑ったり、木の根っこに躓いたり・・・。中高年の登山中の事故というのは案外こんなちょっとしたことから起こるのかもしれない。

馬場島までもう少しというところ、松尾平に入る少し手前から強い雨が降り出し、カッパを出すことになった。その雨も馬場島まで下りてみるとその痕跡すら感じられない。明るく晴れていた。
朝別れたクズバへと向かった二人組の車がまだ止めてあり、クズバの急な下りで雨に遭っていたら大変だろうな、などと思いながら馬場島を後にした。

きょうの獲物:ウドとゼンマイ
小屋までが3時間15分、馬場島までが2時間45分
























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