山旅 : 西穂高岳西尾根 慰霊山行 1900P 2016/4/3
投稿者: hangontan 投稿日時: 2016-4-18 18:35:18 (586 ヒット)

今年の厳冬期、この尾根で山仲間が逝った。彼は登頂後に何らかの異変が生じたと推定され、2500メートル付近で遺体となって発見された。彼が足を運んだその尾根での慰霊が目的だが、一般道のないこの尾根は雪が付いている時期にしか辿れない。冬も考えられるが、雪の状況や装備や様々のことを考慮して春先のこの日に実施となった。

久しぶりに仲間たちと向かう山。ここ数年、自分の体の変化から、自分の体が信じられなくて、皆と行動を共にすることができないでいた。自分一人であれば、自分の歩調で進むことができるが、仲間と一緒だとそうはいかない。ここ数年、一人で登っているとき、突然の体調の悪化がもとで、いくども途中棄権してきた。その意味において、この山行はどこまで皆に就いていけるかを測る試金石でもあった。

曇り空で天候はいまいち。山の上部はガスで覆われている。牧場からトレースを辿って西尾根に取り付く。雪は腐ってブスブス。ワカン装着でなんとか踏張るが、ピッケルはブレードまで刺さり役をなさない。ストックのほうがまだましだ。1550の丸山までの急登がかなりきつい。脈は乱れがちで、これ以上ペースを上げてよいものやら、思案しながら登る。こんなときは全身だるいし、足も重たい。先を進む皆に追いつきたいのだが、一気登りをして発作が出やしないかと気にかかり、なんとかぎりぎりの歩調を保って登行を続ける。一呼吸で一歩進むのがやっとだった。

丸山に着くころようやく脈が安定しだすが、その後も足が重く、歩調は上がらなかった。皆との差は開くばかり、情けない気持ちいっぱい。それでもなんとか1900Pに辿りつくことができた。愚痴ばかり言い放っている自分を仲間はどう捉えていただろうか。

今回の山行では、今の自分というものがよく分かった気がする。いつも一人で登っているとき、それなりに自覚していたつもりだが、今回仲間たちと登ってみて、その差歴然ということをまざまざと見せつけられ、もう以前のような登り方はできない、ということにダメを押された感じがする。

今こうやって思い出しみてもため息が出るばかり。ちょっと途方にくれている。

印刷用ページ このニュースを友達に送る