山旅 : ブナクラのコル 2016/6/18
投稿者: hangontan 投稿日時: 2016-6-22 13:52:24 (519 ヒット)

ブナクラ谷はいつもアプローチとして通り過ぎるだけで、ゆっくりと歩いてみたことがなかった。いつかはと思っていたが、山に登ることが目的となれば、やはり通過点としてのブナクラ谷に時間をかけるわけにもいかなかった。最近になって終活山行に入ってから、踏ん切りがついて、ようやくブナクラ谷それ自体を目的として山に入る決断がついた。

馬場島からブナクラ谷へと向かう林道は、ブナクラ谷取水口付近で工事が行われているため、馬場島からすぐの地点でゲートが設けられている。発破もあるので一般車両が入るのは危険なのだろう。早く工事が終わって、また以前のように車で取水口まで入れるようになってほしい。

ブナクラのコルまでは何度も通ったのだが、どんな道だったのかさっぱり記憶がない。どんな花が咲いていたのか、どんなルートだったのか、まったく記憶がない。また、コルからは剱が見えたのかどうだったかも覚えがない。今回の山行はそれを確かめる目的もあった。

印象に残ったのは戸倉谷を過ぎてすぐ、左手の平らな場所。残雪があればただの雪面だし、もう少し藪が濃くなれば、登山道からは見えない。すでに夏草で覆われた登山道からそこへと足を踏み入れてみると、猫の額ほどの広さしかないのだが、そこだけ開けていて、解放感があった。まだニリンソウも残っていたし、シラネアオイも群生していた。まさか、この地でシラネオアイに出会うとは思っていなかったので、感慨もひとしおだった。今日ここに足を運ばなければわからなかったであろうし、登山道からそれて入り込まなければその楽園の存在にも気付かなかっただろう。そう考えると、今日その場所に導かれたことの不思議な因縁を思わざるを得なかった。

コル直下から赤谷尾根の向こうにそびえる剱を認めて、達成感に浸る。やはり今日ここに来てよかったと感じた瞬間だった。

馬場島起点
登り4時間 下り3時間30分


























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