浅永マキ 著 ★★ 学習研究社伝奇小説。犬が神がかりの象徴と描かれているものとしては、西村寿行の作品がまず思いあたる。やや官能的な内容が伴うのもこの手の小説の楽しみでもある。だが、本作品は並みの官能小説しのぐ内容で、いささか戸惑いを抱きながら読んだ。作者はまだうら若き女性らしいのだが、どこにそんな想像力が潜んでいるのであろうか。まさに血みどろの結末は圧巻であった。