富山のくすりの中の生薬 : ジオウ(地黄)
投稿者: hangontan 投稿日時: 2007-1-3 6:27:37 (1665 ヒット)








「神農本草経」の上品に収載され、古くから陰を滋う、血を養う、補血強壮の要薬とされています。国内には生薬として奈良、平安の頃に輸入されていたらしく「延喜式」(927)に記載されています。
 国内で栽培されている種は中国華北、華中東部、蒙古原産のアカヤジオウで、江戸時代に大和、山城、筑前を中心に栽培され、国内の需要をほとんど賄っていました。現在では奈良県でわずかに栽培されている程度です。
 現在、輸入されている大部分のものは中国産のカイケイジオウ(懐慶地黄)で河南省懐慶を主産地とする種で根部はいも状に肥大する特徴があります。他に栽培されたことがある種には、花が淡黄色なシロヤジオウや根茎は肥大するが塊根にはならず、色も淡白な浙江省産のケンキョウジオウ(筧橋地黄)等があります。近年開発されたアカヤジオウとカイケイジオウの交雑種、フクチヤマジオウも一部で栽培されています。


植物の特徴
アカヤジオウ 全株灰白色の長柔毛および腺毛を蜜生し、根出葉は叢生、倒卵形〜長楕円形で長さ3〜10僉基部が細くなり、質は厚く葉面にはしわが多い。4〜5月に紫紅色で筒状、長さ1.5僂硫屬鯡10〜30僂侶圓両緝瑤冒躱に7〜9個付けます。根茎は肥厚し肉質、塊状あるいは円柱状、防錘形で赤黄色を呈します。
カイケイジオウ 茎、葉、根茎ともアカヤジオウより大型で花はまばらに6〜8個付けます。根は太い紡錘形でサツマイモ程になるものも有り、淡黄橙色呈します。

生  薬
掘上げは晩秋から初冬にかけて行います。生薬には生地黄(ナマジオウ=鮮地黄)、乾地黄(乾生地)、熟地黄の3種類があります。

生地黄 掘上げたまま砂中に保存し、用時取出します。切口が黄赤色(アカヤジオウ)で太く長いものが良品。

乾地黄 掘上げた根を風通しの良い棚に並べ梅雨時まで乾燥し、火力で仕上げます。外面が灰白色、切口が紫色を帯びた黒色のものが良品。

熟地黄 乾燥した根を酒に浸してから蒸す作業を数回繰返してから乾燥したものですが、現在は蒸すだけで乾燥したものが主流です。

成分はカタルポール等のイリドイド配糖体、アクテオサイド等のフェニルプロパノイド配糖体、マンニトール等の糖類。

薬効および使用法
生地黄は血行障害でうっ血による症状や内出血、鼻血、吐血などの症状に止血効果があり比較的体力の有る者に用います。乾地黄は血行不良が原因のしびれを去り、また血糖降下作用もあります。熟地黄はホルモンを分泌させ、増血を助ける強壮的効果があり、衰弱した婦人や老人に用います。
 主に漢方処方薬で八味地黄丸のほか温清飲、滋陰降火湯、四物湯、十全大補湯、当帰飲子、疎経活血湯、竜胆瀉肝湯、六味丸等に配合されます。

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