富山のくすりの中の生薬 : サンシュユ(山茱萸)
投稿者: hangontan 投稿日時: 2007-6-25 19:11:34 (1088 ヒット)








神農本草経の中品に収められ「心下の邪気寒熱を主る、中を温める、寒湿脾を逐いやる、三虫を去る。」と記され、古くから使われた薬剤であることが分かります。
中国、朝鮮半島の原産で、享保年間に朝鮮から薬用として日本に渡来したことが小石川御薬園の記録に記されています。和名のサンシュユは中国名の山茱萸の音読みであり、「茱萸」は赤い楕円形の果実つまりグミのことを指す言葉で、山のグミの意でしょう。現実にグミ科のナワシログミやアキグミが間違われて使われたこともあります。
別名ハルコガネバナと呼ばれるように早春、葉の出る前に黄色の花を開くことから、花木としての価値も高く、庭先に植えられているのをよく見かけます。

植物の特徴
高さが5m程になる落葉性の小高木です。葉は広卵形で対生し、5対ほどの側脈が湾曲して平行に走るすっきりとした形をしています。花は3月下旬から4月上旬にかけて枝先に径5伉度の小花を20〜30個散形に咲かせます。秋には1〜2僂寮屬げ娘造鬚弔韻泙后よく知られた花木で、園芸店でも苗木が販売されています。種から増殖するときは播種から発芽まで2年を要するので注意する必要があります。

生  薬
秋に果実が赤くなってから摘みとり、果柄を取除いてから熱湯に通し、半乾燥し、種子を取去り陽乾します。「雷公琺炮炙論」には核は精を滑らかにするから服してはならないとあり、種子を取除く必要があります。果肉が厚く、赤色で黒色を帯びることがなく、酸味が強く、油気があるものが良品。苦味配糖体のロガニン、スウェロシド、モノテルペン配糖体のモロニシド、コルヌシドやトリテルペノイド、タンニン、有機酸等を含有します。

薬効および使用法
滋養、強壮、収斂薬として補腎、盗汗、頻尿、腰膝疼痛、生理旬不順に薬用酒にして用いる外、保険強壮薬とみなされる以下の漢方処方に配合されます。
]嗣4檗“茲譴笋垢尿量減少または多尿で、ときに口渇があるものの次の諸症:排尿困難、頻尿、むくみ、かゆみ。
牛車腎気丸 疲れやすくて、四肢が冷えやすく尿量が減少または多尿で時に口渇がある次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、老人のかすみ目、かゆみ、排尿困難、頻尿、むくみ。
 
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