投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-9 6:50:07 (354 ヒット)

ピーター・マシーセン 著 ★★ めるくまーる社
1978年米国ナショナル・ブック・アワード

作家でありナチュラリストである著者は1973年にネパール奥地の内ドルポに出かけた。動物学者GSのヒマラヤアオヒツジの生態調査に同行したものである。また、その生態がはっきり判っていない大型の猫科動物の雪豹も視野にいれてのトレッキングであった。
当時の辺境の地へのトレッキング模様がよくわかり、一緒に旅している感じとなる。また、仏教に深く帰依している著者の心の旅模様も描かれている。
ただ、不信心者の私にはアメリカ人ブッディストが語る精神世界はやや難解であった。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-9 6:49:30 (492 ヒット)

宮部みゆき 著 ★★ 出版芸術社

サイキックもの。
超能力者が自分の持つ力に悩み、一人は死んでいき、一人は実社会との共存に前向きに生きていく。
宮部みゆきの作品と言われれば、そうかな、と思わないでもないが、誰かのペンネームであっても疑問はもたない。
さらりと読めるが筆力は感じさせない。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-9 6:49:00 (481 ヒット)

小池真理子 著 ★★★ 早川書房

1970年から1972年が舞台の恋物語。以前から読んでみたかったのだが、なかなか手に入らず、ようやく古書店で百円の良書を見つけた。
「恋」というには官能的でミステリアスな内容だ。せつない「恋」とはおよそ縁遠い。「秘密」と題してもよかったろうに、しかし、「恋」ではなくてはならなかった。
主人公が癌で亡くなる間際に、ルポライターに「これだけは秘密にしておいて」と語った、殺人という形で終わりに至ったすさまじい「恋」の話。
書評では連合赤軍の浅間山荘事件との関連性について触れられているものが多い。実際、物語りにもそれが伏線として描かれているし、主人公と学生運動との関わりも描かれている。
しかし、自分の中では「恋」のミステリアスな部分とは別のものという感がある。主題の「恋」とは別の話という感じが頭から離れない。また、それ自体でもりっぱな作品となり得る。
この本は二つの話を融合させた物語との印象が残る。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-9 6:48:12 (544 ヒット)

谷甲州 著 ★★ 早川書房

世界のあちこちで動物たちの異常行動が観測され始めた。宇宙船での事故をきっかけとして、流星パンドラの関与が浮上してくる。
それは地球外生命体の地球侵略の序章であったのだ。パンドラ探査隊が次々と地球を飛び立ち、パンドラ攻略が開始される。
出だしは、まあまあだった。しかし、動物たち(猿ら)が人間に攻撃をしかけてきたとう話が唐突という感じがした。それからは、
長い長い話が続く。宇宙船での活動など随所にキラリと光るものが散りばめてあるのだが、つなぎの質がよくなく冗長的な感が否めなくもない。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-9 6:47:15 (579 ヒット)

谷甲州 著 ★★★★★ 角川書店

昭和9年末から翌年にかけて、厳冬期の早月尾根を初めて踏破したのが立教大学だった。その前にも彼らは冬の鹿島槍天狗尾根、北壁、南アルプスにも輝かしい記録を打ち立てている。昭和11年、いよいよ立教大学はインドヒマラヤのナンダ・コートを目指す。1月には加藤文太郎が冬の北鎌に逝き、2.26事件があったその年である。
この本はそんな彼らの山を描いた限りなく事実に近いフィクションである。プロジョクト・Xを地でいくような、綿密な取材、今に再現された当時の登山模様。なにより彼らの熱き想いが伝わってくる。ヒマラヤへの情熱、資金調達、隊員の葛藤、そして本当に長く遠かったナンダ・コートへの道。果たして結末は・・・。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-9 6:46:40 (557 ヒット)

藤原伊織 著 ★★ 講談社

ある日突然、配管工の主人公に蚊トンボが取り付いてしまい、彼は特殊な能力を持つようになる。そして、ヤクザがらみのトラブルに巻き込まれていく。『蚊トンボ』+『特殊能力』の設定がなくても十分面白い筋になったと思う。なぜ『蚊トンボ』でなければならなかったのか、疑問だ。
この本の書評には概して高く評価してないものが多いが、自分はそうでもないと思う。出だしこそ「これは?」と思ったのだが、すぐに引きずり込まれ、あとは一気読み(この意見も多い)。浅田次郎作品を思わせる個性の強い登場人物に笑ってしまった。ただ、浅田節になりきれなく、またサスペンスにしても中途半端という観がぬぐえなくもない。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-9 6:45:56 (570 ヒット)

福井晴敏 著 ★★★ 講談社

サスペンス。江戸川乱歩賞をとる前の作品
「あなたの前に川が流れています。深さはどれくらいあるでしょう?1.足首まで、2.膝まで、3.腰まで、4、肩まで」と問われたとき、なんて答えるだろう。「腰まで」と答えた人は「何にでも精力的で一生懸命、バランスの取れてる人」。「肩まで」と答えた人は「情熱過多、暴走注意」。だそうだ。
元警察官のグータラ警備員の森山が、ヤクザのビル爆発事件に関係のあると思われる保をかくまうところから話は始まる。しかし、それは単なるヤクザの抗争劇だったのではなく、一年前に起きた宗教団体の地下鉄爆破テロとの関連性があった。森山は『赤坂』『市ヶ谷』『永田町』が絡みあった闇の計画に巻き込まれてしまう。キーワードは『アポクリファ』。
トム・クランシーを彷彿させる諜報戦と人間模様。怒涛の結末は一気読み。後に大賞を3つも受賞した『亡国のイージス』よりかはよくできていると思う。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-7 17:40:44 (522 ヒット)

宮尾登美子 著 ★★★ 宮尾登美子全集 朝日新聞社 
第80回直木賞(昭和53年)

『一弦の琴』とは一台の琴の意味かと思っていたら、文字通り弦が一つしかない琴のことだった。だいたいそういう琴が存在していたことすら知らなかった。一弦なので華やかな音、演奏はできないだろうと想像するのだが、逆に、心にしみいる音色がかもし出されるのではないかと思う。
頃は幕末から明治、昭和四十年代まで、一弦琴に魅かれた二人の女性の物語。二人は一弦琴塾の塾長とその塾生の間柄なのだが、双方とも様々な出会いと運命を経てその道を極めていく。
ここでも宮尾節に聞き入ってしまう。他の作品同様、どの登場人物、どの場面にもすぐに入っていくことができる。和風の庭に面した縁側付の畳の間でピーンと張られた一弦琴を弾く主人公の姿を思い浮かべると、こちらも静謐な空気に包まれる。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-7 17:40:06 (560 ヒット)

真保裕一 著 ★★ 講談社

表題の作品あわせ三篇からなる、山ばかりの短篇集。
『赤の謎』に載っていた『黒部の羆』も掲載されている。
いずれもミステリー仕立てとしての山はよく描かれているが、ストーリーに今一工夫が足りない。
製本コストを下げるためなのか、紙質が悪いのが気になった。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-7 17:39:34 (503 ヒット)

山を始めて最初に読んだのがこの本だった。以来、幾度か読んでいる。
誰もが通る山の本ではなかろうか。しばらくぶりで読んでみて思ったのは、『山以外の事も結構たくさん書かれてあったんだな』ということ。人間加藤文太郎もうまく描かれている。
単独行でありながら、人恋しいというのは、なんだかよく分かるような気がする。『・・・のだ』『・・・である』という文体が多く、耳にこびりつく。山でしょっぱい場面に出くわすと『俺はやるのだ』と一人悦に行っているときがある。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-7 17:38:59 (443 ヒット)

高嶋哲夫 著 ★★ 文藝春秋

B級山岳アクション。冬の穂高、槍ヶ岳を臨む天狗原が舞台。
天狗原に墜落した米軍のステルス戦闘機をめぐる攻防。雪山のシーンが結構多く、臨場感もよく出ている。終盤、たたみ掛けるストーリーは読みごたえがある。己が信じるものに突き進む男の物語だ。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-7 17:38:24 (564 ヒット)

宮尾登美子 著 ★★★ 宮尾登美子全集 朝日新聞社

宮尾登美子三部作の最後。
十八歳の綾子が乳飲み子を抱えて満州に渡り、すぐに終戦となって引き上げてくるまでの一年半が描かれている。
「ファンゴール」とは転地が逆さになるという意味の満州の言葉。終戦を境に満州にいた日本人の生活は一変してしまう。それまで虐げられてきた満州の人々が「ファンゴール」「ファンゴール」と叫んで日本人の居留地に押し寄せてくる。それこそ着る物一つだけとなった満州での悲惨な生活に追い討ちをかけてくる。そして、どん底の状況に置かれた主人公の葛藤。
「櫂」「春燈」そしてこの「朱夏」いずれも心地よい余韻が残る。何もかもあわただしい現在から、時間、空間、気持ちともトリップさせてくれる。
このあと物語は「仁淀川」に引き継がれているらしい。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-7 17:37:48 (439 ヒット)

宮尾登美子 著 ★★★ 宮尾登美子文学全集 朝日新聞社

「櫂」を読んだら次に読みたくなるのが、やはりこの「春燈」である。
「櫂」では主人公の母親の視点で描かれているが、「春燈」は主人公の目線で書かれている。宮尾登美子は出だしがうまい。さらりと、あれやこれや話題を拾っていきながら、いつの間にか主人公の世界に入っいる。
幼少の頃から、小学校の代用教員となり求婚されるまでが描かれている。ほのぼのとした純真な少女の成長記である。主人公の存在は一服の清涼剤のようなものであり、朝の連続ドラマを彷彿させる。求婚される場面ではなぜか目頭があつくなる。ふむふむと次のページをめくってみたら、そこで終わりだった。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-7 17:17:50 (536 ヒット)

笠井潔 著 ★★★ 講談社

本格推理小説。
1月に出だしだけを読みかけて、ほうってあった。相変わらずこの人の本は理屈っぽい。読み直してみて、やっと入り込むことができた。
フランス革命中に起こった殺人事件をデュパンが解いていく。緻密に練り上げられた筋は飽きさせない。革命についての記述も、まるでそこに居るかのような臨場感を与えてくれる。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-7 17:17:19 (575 ヒット)

江戸川乱歩賞作家短編集 ★★ 講談社

真保裕一の「黒部の羆」が載っていたので買った。まだ新しいので、さすがの古書店でも半額。
おのおの異なる形のミステリーが楽しめる。中にはハッピーエンドなのもあって、全体としては、中の中の上といったところか。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-7 17:16:38 (530 ヒット)

真保裕一 著 ★★ 講談社

乱歩賞作家を集めた短編集「赤の謎」に載っている。
源治郎尾根に取付いた二人と、山岳警備隊上がりの山小屋主人がおりなすサスペンス仕立てのお話。遭難者に手を差し伸べたら、それがかつて遭難した自分の姿だった。という小話があるが、それを活かして味付けしてある。
登攀の模様はリアルだ。一つ気になったのが、「源次郎尾根」と書かれていたことだ。小説の中では架空の地名が使用されることはままあるが、これは誤植か、作者のミスのいずれかだと思う。長次郎谷はそのままだし、もし架空の尾根にするなら南尾根とでもすればいい。発音まで同じにする必要はない。富山県山岳警備隊も救助ヘリの「つるぎ」もそのまま出てくる。それとも「源次郎」「源治郎」どちらでもいいのだろうか。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-7 17:16:06 (601 ヒット)

一年かかってやっと読み終えた。
帯には「押し寄せる近代化と開発の波の中でヒマラヤの辺境はどこに向かうのか。ラダックに学ぶ環境と地域社会の未来」と記されている。
作者は言語人類学者なのだが、インド北部ラダックに入って「未来への道はひとつとは限らない」ことを確信する。モノカルチャーが全世界を多い尽くすことに対して警鐘を鳴らしている。モノカルチャーは文化の多様性を破壊してしまうからだ。お金とテクノロジーそして道が全てを変えて行く。市場経済の枠の外にあった辺境の地では、貧困という言葉は存在しなかった。開発が入り込んでからは、アンズの木で作られたバター入れはミルク缶の古いものとなり、一日3リットルしか乳を出さないヤクが、日に30リットルも出すジャージー牛に代わっている。
今自分の机の上には所狭しと物がのっている。すべてお金で買ったものだ。日本中、世界中のいたるところで同様の光景が見られることだろう。しかし、すぐにはこの生活からは脱しきれない。我々の何代か後にはまた文化の分散、多様性に戻る日がくるかもしれない。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-7 17:15:29 (509 ヒット)

E.E.スミス 著 ★★★ 創元推理文庫

小学生の頃はいまどきの子供らと違って、本など読んだことはなかった。読んでいたのはもちろんマンガばかり。「少年」「少年画報」「ぼくら」などの全盛期だった。そこで覚えたロボット物、宇宙物は後々まで私の楽しみの一部となった。
中学に入って、休み時間になるとノートに宇宙船ばかり描いている奴がいて、そいつがが読んでいたのが「宇宙のスカイラーク」だった。なんだか面白そうなので僕も買っみた。およそ「本」というものを読んだのはこれが初めてだったと思う。中学生相手としてはSF度100%。当時としてはややわかりにくい用語もあったが、話の筋は単純で、マンガの延長線上にあった。
今読み返すと、当時のことが彷彿される。スカイラークが雲雀という意味なんてずいぶんあとから知った。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-7 17:14:45 (568 ヒット)

それまでのヴァンパイアのイメージをガラッと変えてくれた一冊。この本にそんな感想を持った人は多いと思う。主人公が現代の街にさっそうと登場。しぐさ、感情も今風に描かれており、読後感も申し分ない。
話は古くなるが、新婚旅行はネパールのアイランドピークを予定していた。カトマンズのエイジェントとの手紙のやり取りで、おおまかな日程を組んだ。しかし、いろいろあって6千メートル峰を登るためのトレーニングを積むことができず、直前になってアイランドピーク登頂を断念し、トレッキングに計画を変更した。
トレッキングを順調にこなして、アイランドピークのベースキャンプ地に入った。山小屋はエベレスト街道散策のトレッカーはもちろん、アイランドピーク目指してやってくる山家で人気のあるスポットだ。夕食を終え、寝床に就くまでのひと時、いつものようにお茶を飲んで時間を過ごした。我々の他には数人の欧米人が、薄暗い部屋の中にいた。その中の一人の女性が開いていたのが「夜明けのヴァンパイア」だった(もちろん原書)。
この地に集まってくる人々はトレッキングや登山という共通項を持っている。それ以外の共通項に偶然出会ったことに軽い興奮感を覚えた。日本にいてさえ、誰かがこの本を読んでいる姿にお目にかかれるとは想像しがたいのに、まさかこんなところで、それも原書に出会うとは。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-7 17:14:01 (522 ヒット)

瀬名秀明 著 ★★ 角川書店 上・下

量子力学は突き詰めていくと、精神世界、宗教の世界にまで踏み込むことになるという話を聞いたことがある。この本にはそんなニュアンスがある。脳を科学すると、それは心との問題に突き当たってくる。心は神の領域につながる。
これは物語なのか、脳科学の最先端解説書なのか、どこまでが本当で、どの変がフィクションなのか、あっちへ行ったりこっちに来たりと、そんな内容の本だ。UFOと臨死体験に接点があるとは思いもよらなかった。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-7 17:13:16 (448 ヒット)

村上龍 著 ★★ 文芸春秋

村上龍で初めて読んだ本。
話はややイージーのような気もするが、軽いテンポの文体ですぐ読める。主人公のような中学生は今の時代実在してもおかしくない。今というのは2004年を含めて、そう遠くない将来である。ITそのもの、それに対する我々の状況、考えの変化はめまぐるしいものがある。半年、一年で地球を一周するくらいだ。この本が書かれた2000年と今とでは天と地との開きがある。その時に今の時代のありそうなことを描いていたのだ。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-7 17:11:48 (596 ヒット)

眉村卓 著 ★ 運命新人物往来社
歴史SF。845Pは分厚い本である。
タイムマシンものにしては、ややSF度が足りない。というかソフトSFという感じ。それでも、これを読めばカルタゴとハンニバルのことは勉強になる。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-7 17:11:11 (585 ヒット)

船戸与一 著 ★ 新潮社

横浜、光州、台中が舞台の野球小説。野球賭博がらみの殺人事件から始まる。プロ野球の裏側を韓国、台湾のもつ歴史的背景を交えながら描いている。選手たちの生き様の話だけでも十分楽しめる。殺人事件を絡ませないやり方もあったのではないかと思う。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-5-7 17:10:29 (398 ヒット)

樋口明雄 著  ★ 角川春樹事務所

サスペンス。産廃問題と山の生活をミックスさせて表現したかったのだろうが、どちらも不完全燃焼。人物の書き込みもものたりない。ただ主人公と暮らす犬の存在と活躍が心を和ませてくれた。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-4-29 6:58:40 (624 ヒット)

帚木 蓬生 著 ★ 集英社

最先端生殖医学ミステリー。出だしでこれは悪魔の本かと期待を抱かせたが、いつのまにやらそうではなくなっていた。入院しているときなどの暇な時間に読むにはちょうどよい。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-4-29 6:57:50 (669 ヒット)

平谷美樹 著 ★★ 角川春樹事務所

超能力者達が自らの安息の地を求めて旅立つ話。昔エスパー、今サイキック。ネットがうまく利用されているのも現代風。ただ登場人物が多すぎるのが気になる。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-4-29 6:57:11 (564 ヒット)

高村薫 著 ★★★ 新潮ミステリー倶楽部

さすがというか、読みごたえがある。
「リヴィエラ」の正体を巡って繰り広げられる深く重い流れ。IRAに係わる主人公にのめり込んでしまった。日本人なのにどうしてこんなに国際的な顛末をリアルに語れるのだろうか。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-4-26 18:47:47 (564 ヒット)








今般の薬事法改正は、といってももうすぐ一年になるが、我々にとって吉と出るか凶と出るのかまだよくわからない。江戸時代に始まった富山売薬はこれまでに幾多の試練を乗り越えてきた。今回の法改正はその中でも最も高いハードルの一つといえる。法改正の青写真が示されたとき、配置薬業界は大きく揺れた。それまで一枚岩だった業界が二つに割れ、その傷跡は今も癒えない。
登録販売者資格試験のために必死こいて勉強し、なんとか合格を果たした。その後、登録販売者のための登録申請をし、新規に営業許可を取り直し、登録販売者の身分証をいただいた。これでやっと新法における配置薬業のためのスタートラインに立つことができた。ところが相次いで特商法も改正され、我々もその対応にせまられることになった。曰く、訪問販売における配置薬品の立場を消費者に伝えなくてはならないという。そのために用意されたのが『配置販売についての確認書』つまり、使用した配置薬品はクーリングオフの適用外であることをお得意さんに確認してもらう、ということ。それをすべてのお得意さんに説明しなければならない。『大衆薬のための販売方法について』も理解してもらう必要があり、仕事の場面では負担がふえることとなった。改正薬事法ではほかにも、なんやかんや法的に準備しなければならない書類やら、研修についての規則も定められており、まっことにやっかいなご時世となった。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-4-26 18:42:33 (767 ヒット)








改正薬事法が昨年六月から施行された。我々配置薬業界への影響も少なからずある。基本的に登録販売者なる資格がないと配置薬業が続けられない。付則というか経過措置においては資格がなくても売薬さんは従来通りの営業は可能である。小生も登録販売者として本年から身分証をいただいて、商売をさせていただくことになった。登録販売とそうでないものの大きな違いは何か、それは取扱商品の違いである。一般用医薬品のリスク区分において、登録販売者は2類という区分の薬を取り扱うことができるが、登録販売者でない売薬さんはこれが販売できない(従来の配置薬専門の薬のみ販売可能)。ところが、法改正されてまだ時間が浅く、配置薬メーカーはこの2類医薬品への対応があまり進んでいない。最近になってやっといくつかのメーカーからそれが出回り始めた。『ラモンIBエリア』はイブプロフェンを成分に含んでいる。このイブプロフェンはこれまでの配置薬にはなかったが、一般用薬としては名前もよく知られた成分であり、解熱、鎮痛剤としての効果は申し分ない。従来の配置薬では効き目が感じられなかったお得意さんには役に立つお薬となるかもしれない。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2010-4-26 18:39:27 (455 ヒット)

どうせこの手の本は通り一遍の上辺だけのことを書いているんだろうと思っていたが、読み始めてすぐその考えは改めさせられることになった。本書は作者の『アウトロー烈伝』シリーズの中の一冊なのだが、売薬(この呼び方を嫌う業者さんもあるようだが、筆者は敬愛をこめてそう称している)をそのアウトローとして捉えている。いわく「自由は固定されない、移動こそが原理だ」「エンターテイメント即アウトローイズムなのだ」そういう意味では、我々売薬はまさしく自由と旅を享受して商売をしているといえる。「旅行というのと旅というのとは、まったく違うことと考えていただきたい。土地の人と話し合いをし、土地の人と遊び、あるいは助け合ってくるような感じをつくって行くのが、旅なんですね」これこそ我々売薬が歩んできた道だし、これからも永遠と続いていく道筋であろう。圧巻は巻末に記された膨大な参考文献の数々。この本はそこから絞り出されたエキスのようなもの。読み物としても芯が通っているし、資料として読んでもわかり易い。至玉の一冊といっても過言ではないだろう。


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