投稿者: hangontan 投稿日時: 2008-1-11 18:42:46 (1167 ヒット)








白血球の増強、マクロファージの産生促進作用、免疫機能の活性化が認められ、補薬としての応用範囲は極めて広い。
『神農本草経』の上品に収載される補益の要薬です。李時珍は「耆とは長(ヲサ)の意味であって、黄耆は黄色のもので補薬として長だからかく名けたものである。」と述べています。

黄耆はマメ科ゲンゲ属のキバナオウギとナイモウオウギの2種を原植物としています。中国では主に内蒙古、山西、黒龍江、河北省等で生産されていますが、かつては山西省泌州綿上産が品質が良いところから、または皮を裂くと綿のようになるところから綿黄耆の名で呼ばれていました。同様に陜西省同州白水産のものを白水黄耆と言い、これもまた良品で、質が柔靭で皮の色が微黄褐色、中が白色のものです。他に赤水黄耆、木黄耆、土黄耆等がありますが、いずれも品質がおちます。
日本では江戸時代に国産の黄耆が探されたようで、ゲンゲ属のモメンズルやムラサキモメンズル等が試験されたようです。特に「加州白山、越州立山、和州金剛山より出す者根、柔にして味甘し」と記されている種はキバナオウギ、変種のタイツリオウギと推測されます。

植物の特徴
キバナオウギ 中国北東、華北、四川省、蒙古、ロシア、朝鮮に分布し、草竹1mにもなる大型の多年草。夏に淡黄色の小花を総状に腋生する。さや果は膜質で膨らむ。

生  薬
秋に掘取り、水洗後分枝根を取除き、陽乾します。根が太く、長く、綿質で甘いものが良品。成分はフラボノイド(ホルモノネチン、アストライソフラバン等)、サポニン(アストラガロシド、イソアストラガロシド等)

薬効および使用法
強壮、利尿、止汗、血圧降下、排膿薬として漢方処方に配合されます。
_耆建中湯 身体虚弱で疲労し易いものの次の諸症:虚弱体質、病後の衰弱、ねあせ。
⊇汁澗臺篥 病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血。
K標焚耆湯 色白で疲れ易く、汗のかき易い傾向のある次の諸症:肥満症、関節痛、むくみ。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2006-11-19 21:03:18 (1438 ヒット)

牛の胆のう中に生じた「結石」を乾燥させたものです。この胆石が発見できるのは牛1000頭に1頭ともいわれ、その希小性と、多くの人の健康を支えるすばらしい薬効とが相まって、ゴオウを、 「高貴薬の中でもひときわ価値のある特別な存在」たらしめています。
大きさは径1〜4cm、表面が黄褐色あるいは赤褐色の塊で、破砕面には木の年輪のような輪層紋があります.牛黄は、軽く、もろく、砕けやすく、味はわずかな苦みのなかに甘みがあります。
ゴオウは、効き目が古来からよく知られ、現在でも高い需要があるにもかかわらず、稀少な生薬であることから金の何倍もの値段が付き非常に高価です。昔、武士や旅人の常備薬として、刀傷などに対する抗炎症効果、増血効果を期待し、また発熱、動機、息切れ、不眠、イライラの解消や疲労回復などに用いられてきました。現在では、高価な栄養ドリンク剤などに配合されていますが、含有量をみると極めて少量です

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投稿者: hangontan 投稿日時: 2006-11-14 16:59:49 (1530 ヒット)

漢方では婦人病の主薬であり、鎮静、鎮痛、強壮薬として妊婦のむくみ、腹痛、月経痛などに当帰芍薬散、当帰建中湯などに配合されていて婦人産後の要薬でもあり、鎮静通経の効き目があります。手、足を暖める作用が強いので、冷え性、血色の悪いもの、血行障害、頭痛、貧血などに広く応用されています。もちろん男性にも用いられ、中年以後の虚労、腰痛、手足の冷えやしびれに応用されています。

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投稿者: hangontan 投稿日時: 2006-11-14 16:57:39 (1030 ヒット)

中国四川省で良質品を多産したので川きゅうの名が通用するようになりました。日本では北海道で栽培されます。フタライド誘導体を主体とする精油を含み、温性の駆オ血、補血、鎮静、鎮痛薬として、貧血症、冷え症、月経不順、月経痛などに応用します。センキュウを単独で用いることは少なく、他の生薬と併せることで効果を発揮します。
センキュウは全て栽培種で、秋に根茎を採取し水洗、湯通して乾燥し、薄く切ったものを原料生薬として出荷しますが、国内の主産地は北海道で、年間300トン程度生産されています。

漢方では、婦人病の要薬とされていますが、補血作用がありますが、この、補血作用は当帰ほど強くなく、また、単独で用いても効き目はありません。

血を補い、血液の循環をよくする目的では、センキュウは必要な生薬です。 また、多くの婦人の月経不順にも使用されていて、薬理実験では、血管を拡張して血液の流れを正常にして、血液の循環をよくすることが知られています。 冠状動脈硬化性の心臓病による狭心症にも応用します。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2006-11-14 16:55:10 (1159 ヒット)

ニンジンと聞いてまず頭に浮かぶ植物は野菜の人参キャロットでしょう。しかし、薬に使うニンジンとか、朝鮮ニンジンと呼ぶとだれでもこの人参のことを指していることに気付き、万病の薬、強壮強精薬のイメージを思い浮べます。野菜の人参は元の時代に中国を経て伝わった東洋系と江戸末期に伝わった黄色の洋種系とがあり、朝鮮人参の根に色、形が似ていたところから付けられたといわれています。
 薬用人参は「神農本草経」の上品に収載され、本草綱目では「長年月の間に漸次に長成し、その根が人間の形体のようで神秘なものだから人1、神草というのであって、1の文字は2に従う、いづれも浸漸(徐々に効力を現す)の意義である」とあり が画数が多いことから蔘、參、参の字を当てるようになったと記されています。朝鮮人参、高麗人参の名は満州から朝鮮半島の原産であるところから、英名のアジアティクギンセンはアジア産と中国名の発音から、属学名のパナックスは万病薬を意味しています。

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投稿者: hangontan 投稿日時: 2006-11-14 16:54:22 (1474 ヒット)

西アジアまたは中央アジア原産と推測されていますが、はっきりしたことは分かっていません。紀元前3,000年以前のエジプトの墓から球根の粘土模型が発見されいることからピラミッド建築の労働者が疲労回復のために食用にしていたことが伺えます。古代ギリシャやローマでも薬としてよく食べられ、現在でも地中海沿岸で栽培が盛んに行われています。
 
一方、現在世界一の生産国である中国には漢の武帝(紀元前140年)の頃部下の張騫が西域から持ち帰ったことが記されています。日本への渡来も古く、『古事記』には「倭建命が東征の帰途‥‥、坂の神が白鹿に化けて出てきたので、食べ残した蒜をもってこれを打ち殺した」とあります。おそらく、朝鮮半島経由でもたらされていたのではないかと推測されます。平安初期の『本草和名』(918年)や『倭名類聚抄』(932年)には「葫、和名於保比留(大蒜)、今俗呼仁牟仁久(にんにく)」と記されています。因みに、ニンニクの語源は仏教語の「忍辱」という説があります。修行中の僧侶がにおいを気にしないでも食べるという隠語を表すという。なぜ隠語で表したかというと、仏教では、ニンニクやニラなどの、匂いの強い植物を食べると、元気が出て精がつき過ぎて、それが原因で邪念を持ち修行に専念ができなくなるから、僧侶が食べてはいけない食べ物とされいたらしいのです。
 

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投稿者: hangontan 投稿日時: 2006-11-14 16:53:16 (1092 ヒット)

「立てばシャクヤク、座ればボタン、歩く姿はユリの花」と、古くから美人のたとえとしてよく知られています。シャクヤク、ボタン、ユリ、いずれも豪華絢爛たる花を咲かせます。美人の例えに使われた裏には、薬草としての効能も隠されていたのです。これらの植物は全て婦人病の薬草です。 シャクヤクは、冷え性、月経不順、産後の疲労回復。ボタンは月経困難、便秘。ユリは乳腺炎やできものの薬草です。

中国の薬物書の古典「神農本草」には、芍薬の効能については腹痛、知覚異常を除き、刺すような痛みをとり、また発作性の痛みをとり、利尿(りにょう)の効き目があって、神経の安定によいという記述があります。 シャクヤクは、漢方の要薬であり、婦人薬として利用度が最も高く、また、筋肉の痙攣からくるひきつけを和らげ、腹痛、疼痛、下痢などに用います。

シャクヤクは、北朝鮮、中国東北地方、蒙古、シベリア地方原産で、古くに中国から薬用として日本に渡来しました。すでに、足利時代には栽培されたという記録が残っていて、これによりボタンより先に渡来したことがわかります。 花には白色、薄紅色を主にして多用な園芸品種に改良されていて「和漢三才図会」には500種をこえる品種があるとされています。 アメリカのシャクヤク協会では、さらに多くがあり1904年には2600品種が集められたということです。 ヨーロッパには、日本からケンペルによって伝えられました。ボタン属の学名パエオニアとは、ギリシャ神話の中の医学の神パエオンの名前からつきました。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2006-11-14 16:52:34 (1284 ヒット)

『神農本草経』の上品に収載され、古くから用いられてきた生薬です。李時珍は「蛇、虺(まむし)が好んでその下にその子を食ふ。故に蛇、虺、蛇粟などの諸名をつけたのだ。」と語源を説明しています。さらに、「凡そ花、実の蛇床に似たものは当帰、川芎、水芹、藁本、胡蘿蔔(ナニンジン)などである。」と言い、セリ科植物であることを示唆しています。現在は中国産のオカゼリを当てていますが、国内にこの植物が生息していなかったため、色々の植物が当てられていたようです。

『本草綱目啓蒙』で小野蘭山は「水草のヒルムシロ(ヒルムシロ科)の実を蛇床子として売るのは間違っている。現在はヤブジラミ(セリ科ヤブシラミ属)の実を用いているが、真物の中国産蛇床子は毛刺無く、竪に細稜があってヤブジラミとは異なる。本邦の海辺に浜ニンジン(ハマゼリ)と呼ぶものあり、苗の形、葉、花はセリに似ていて中国産の蛇床子と異なるところはない。これが真の蛇床子である。」と述べています。ハマゼリはオカゼリと同属(ハマゼリ属)であり、間違えたのもうなずけます。

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投稿者: hangontan 投稿日時: 2006-11-14 16:51:42 (1135 ヒット)

モクレン科のホオノキの樹皮を用いる。ホオノキは樹皮を厚朴として利用する以外にも、果実を“朴の実”と称して民間薬として利用し、また、その大きな葉を使って“朴葉味噌”をつくることでも有名です。
気は実感しにくいものですが、漢方では気を生命の基本でありその異常は心、体の連携による諸機能を不調和に追い込むと考えています。気は西洋医学で相手にされないこともあって、気に作用する気剤はほとんど無視されがちであり、具体的な例はあまり列挙されることはありません。その中で、明確に気剤として用いられているものに「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」があり、主に気滞(きたい)を治すとされます。気滞とは気が偏って滞った状態を指し、頭が重く咽喉や食道が詰まる感じで腹痛やおなかがふくれる不快感をもたらす状態をいいます。医療の現場では神経症や神経性胃炎などに用いられる処方です。この中で気そのものを治すとされるのはソヨウ(蘇葉)、コウボク(厚朴)、コウブシ(香附子)です。


投稿者: hangontan 投稿日時: 2006-11-14 16:47:20 (1404 ヒット)

香辛料または薬用に、古来より重要な植物として取り扱われてきました。中国においては「神農本草経」に菌桂、牡桂の名で収められ、「傷寒論」等には桂枝、桂心の名で、「本草綱目」では牡桂すなわち肉桂であると記載されています。現在の中国では肉桂の名を日本で言う桂皮に当てています。
日本では「正倉院種々薬帳」に桂心の名で記載され、古くから渡来していたものと思われます。現在薬用に使用しているものは中国産の広南桂皮の樹皮を用いています。
西洋では1世紀頃のギリシア本草「リオスコリデス」に記載され、おそらくアラビアを経てもたらされたものと考えられています。現在の香辛料に使われているシナモンはセイロン桂皮で、柔らかい芳香と甘味があります。ケイヒの消費量は日本国内では薬として利用されるよりも、食品に利用される方がはるかに多い。

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投稿者: hangontan 投稿日時: 2006-11-14 16:43:16 (1163 ヒット)

安中散の主薬で婦人科疾患や鎮痛などに薬効がある
漢方処方用薬のひとつですが、本草書に現れるのは唐代の『本草拾遺』や『海草本草』に、薬として掲載されたのは北宋の『開宝本草』(975)に延胡索の名で初めて収載された比較適新しい薬用植物です。語源は南宋の『湯液本草』(1248)に「本来の名前は玄胡索であったが宋の真宋の諱(いみな)が玄であったことからこの名を避けて延に書き改めた。」とあります。しかし真宋の在位は997-1022年で『開宝本草』より遅く、これをもって語源とするには疑わしく、また明代の『本草原始』(1612)に「玄は塊茎の皮の色が黒い(玄=黒)から、胡は胡国に生ずるから、索はその苗に紐のようなものが交わるから」と述べていますが前述の『本草拾遺』には延胡索は奚国(中国東北地方)に産し、安東(平壌付近)を経て中国へ来た」と記しており、中央アジアの胡国産であることから名づけられたということも怪しく思えます。

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